〜追悼(名犬?迷犬?盟犬?)紋次郎@〜


平成十七年一月十一日未明・・・・。
紋次郎が静かに逝ってしまいました・・・・・・・。

それまでの体調からある程度覚悟はしていたつもりでした。
グレートピレニーズの平均寿命は他の犬種と比べて短く、10年生きればご長寿といいますからやがて
10歳だった彼は大往生なのです。
それも解っていました・・・・・。
しかし、いざそうなってしまうと、とてもツライ瞬間で「うそやろ・・・・おい!紋次郎!起きんや!」と、その
冷たくなった巨体を必死に揺する自分が、そこにいたのです・・・・。

今回は梨には全く関係ない話かもしれませんが、あれからやがて3ヶ月がたち、彼の生前を追想し、ま
とめてみたいと思いました。
少し長くなりますが、よかったら一読下さい。

思い起こせば、およそ一年前ほどから急に座り込んだりと変調が見られるようになり、病院通いが続い
ていました。
その原因は年齢を重ねた心臓が、その巨躯からくる負担に耐え切れなくなってきており、心電図ではエ
ラーが出るほどの乱れようでした・・・・。
そしてその後の収穫販売時期には、ますます体は重たそうになっていて、投薬、点滴治療を連日続け
ながらも、それでも直売所まではどうしても来たがり、そこでぐったり横になっていました。
荒尾大牟田近辺はもちろん、熊本市内や遠くは福岡、さらには広島からも彼を目当てに(梨はおまけ)
訪れられる方に、例年なら起き上がって時には散歩までしてもらいながら”接客”していた彼も、昨年は
頭を上げパサッパサッと”歓迎”の尻尾を振るのが精一杯だった様子でした・・・・・。
11月、12月頃になってくると食事もどんどん細くなっていき、さらに歩くどころか起き上がることさえも大
変困難となり、そしてとうとう寝たきりの状態になってしまいました。
<犬>にとって一番の楽しみであろう散歩と食事・・・・・それができない・・・・・・。
それどころか、必死に何度も頭を上げ起き上がろうとするのに 体が思うように動かない。
もう彼のオーバーヒートした心臓はその巨躯の隅々まで血液を十分に遅れなくなっていたのでしょう。
あきらめてまた横になると「フッー・・・」と、もどかしそうに深いため息をつく・・・・。
見ているこっちも悲しくなるほどでした・・・・・・。
「お〜い、なんだよ、がんばれよ!」と、ブラッシングしてやろうとするフカフカとしたその立派な毛の下
は、やせ細り、骨がゴツゴツあたるほどで 首輪はユルユルになってしまっていました・・・・・・・・。

泣けてきそうでした・・・・・・。

自力では満足に取れない食事も、なんとか栄養をと想い、カロリーメイトやヴィダーインゼリーや豆乳を
 口をあけ薬と一緒に流し込んでいました。
でもはたして彼にとってそれは楽しみの食事だったでしょうか?・・・・・。

ある日、昼休みにわざわざ点滴に来ていただいたり、動けない紋次郎の為に寒中ずーと外で診察いた
だいたりと、いつも懸命に診てくれる動物病院の先生が、
「これだけやって、改善しないのは申し訳ありません私の力不足かもしれません。私もなんとか紋次郎
君を助けたいのですが・・・・すみません・・・・・・・・。
あまり苦しむようならその苦しみから逃れさせてやるという考えもあります・・・・。」と、深々と頭を下げら
れた。
<安、 楽、 死>
やがては、と予想はしていたものの、その選択肢をつきつけられると動転し、こみ上げてくるものがあっ
た。
必死に涙をこらえ「いやぁ〜、そんな苦しそうにはしてないですよ、体が苦しそうと言うより悔しそうなん
ですよ、動かない体が・・・・・・。だっ、大丈夫ですよ・・・。」と、でたらめなことを言ってその場を濁した。
力不足と謙遜されたが、これまで紋次郎が元気でこれたのも、その先生だからだという思いから「すみ
ません・・・ありがとうございます」と、自然とこちらも頭が下がった。

家に帰って彼の目を見て相談した。
「苦しいか?おまえ、もう死んだほうが楽だと思うか・・・・・・・?」
鼻は乾ききって、やせ細った体全体で息をしている彼が苦しくないはずがない・・・・。
でも、まだその<眼>に力がある!!、私にはそう見えた!。
家族にも事情を話し、「まだ、眼が生きてる間は!」と説明した。
が、そう言いながらも本当にそれでいいのかと激しく葛藤していた・・・・。

正月が過ぎたある日、古くからの友人のおやじさんが亡くなった。
お葬式の時、その友人のお袋さんに「紋次郎は最後までみてやらんね。お金も手間もかかってお互い
大変やろうけど、それがあんたも紋次郎も悔いが残らんよ。」と言われ、決心が付いた。
「よ〜し!とことん付き合ってやるか!。」
そう心に決めたその日、彼はなかなか上がらなくなった頭を上げ、「アフッ、アフッ」と、声にならない声
で吠えていた。
そんな彼に嫁さんがお菓子を見せると、めずらしくおいしそうにたいらげた。
「なんやおまえ、まだまだ元気やんか〜。」と、頭をなでた。
しかしそれが1月10日、そうその前日のことだった・・・・・・。

平成17年1月11日未明・・・・。
紋次郎が静かに逝ってしまいました・・・・・・・。

せっかくとことん付き合うって決めたのに・・・・・・・・・・。

まさか、それを見透かして・・・・・・・・?。
そう思うと涙が止まらなかった・・・・・・・・・・・・・。



〜追悼(名犬?迷犬?盟犬?)紋次郎@〜     おわり。

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