梨園の様子


あなたに届いた梨の生い立ちを,
梶原果樹園の一年間の様子を簡単にご紹介します。

  

収穫の終わった後、冷たくなっていく空気とともに
黄色く色づいた葉が ひらひらと散っていきます。
わずか数日間ですが その光景はとても神秘的で つい見とれてしまうほどです。
今年も一年本当におつかれさんと 一本一本に感謝の瞬間です。

その後、堆肥 肥料 米ぬかをふり、梨の木を剪定した後の枝を
数年ねかしてぽろぽろになったものを園に戻します。
トラクターで全体を耕したところで 梨園に冬がやってきます。

冬の梨園は 
一年の間に伸びた枝や 古くなった枝を新しい枝に更新し整えていく整枝剪定と、
その新しい枝を 園にはりめぐらされた針金の棚に ひもで結んでいく誘引の
作業が ひたすらつづきます。
この時期は園に一日中こもりっぱなしとなり ラジオが友達の毎日で
たまに人恋しくなることあります。
また、九州でもまれに雪が降る事があります。
寒い中での外の作業はちとつらいことも・・・(北国の人に笑われるかな?)

やがて整枝剪定や誘引が終わるころになると うららな陽気が近づき
新芽たちも膨らみ始め いよいよ開花となります。
さあ ここから受粉作業の終わるまでは やらなければならない作業が
短期間に山積みで とてもうららな気分ではいられません。

  

受粉作業とは 適切な梨の花に一つ一つ 丁寧に筆で花粉をのせていくことで、
ものすごく簡単で単純な作業ですが はじめて手伝いに来てくれる人は
たいてい 「これ全部?」と 園を見渡し途方にくれてしまいます。
でもとにかく、完全に受粉しないことには 実がなりませんから
満開の時期の天候、温度、湿度等の好条件を満たす日は ごくわずかしかなく
作業が終わるまでは いっときも気が抜けません。
同じころに咲く 桜の花見にもなかなかいけませんが その時期、花を見ると
「受粉させねば」と、落ち着いて飲めないのは職業病でしょうか?

  

しばらくすると左の写真のように花弁の下が膨らんできます。
受粉した証明でこれを見るとやっと安心できます。
その中から一枝に数個の良質の実だけを残し右の写真ぐらいに
大きくなったところで一つ一つ袋をかけていきます
お届けの時は両手で持つような新高も最初はこんなに
小さくてかわいらしいです。あたりまえですけど・・・

 

袋掛けは 約一ヶ月半から二ヶ月間、毎日ひたすら朝から晩まで掛けていきます。
そうです。梨園の仕事はいつも根気とやる気が必要な作業ばかりなのです。
でもその毎日の積み重ねがあの大きくて甘い梨になる。
そう自分に言い聞かせてがんばっています・・・。

さあ袋掛けも終わり、梅雨があけ セミが大合唱をするころになると
潅水(水まき)や草刈 夏誘引などの諸作業を経て
いよいよ8月には幸水の出荷、販売の開始となります。

  

またその頃になると新高もかなり大きく成長しています。
でもどんなに大きい梨でも細くて小さい軸一本で支えています。(下記左図)
梨は下に引いても取れません(見かけによらず力持ちなんです。)
収穫のときは下記中図のように下を持ち横に押してやればいとも簡単に取れます
(はじめて梨園に入る人はたいてい2〜3個、頭で落としちゃいます。)
それで、台風が直撃して 強風が吹き 梨の木ごと棚ごと揺らされると
ボトボトとあっという間に足の踏み場がないほど落ちてしまうのです。
一年間の積み重ねが文字どうり吹き飛ばされます・・・。

  

また近年、異常気象による高温や少雨による「ヤケ」が深刻です。
台風は すべての梨を落としていくことはありませんが、「ヤケ」のひどいときは
ほぼ壊滅的な被害を受けることがあります。
台風と違い、木になったまま傷んでいるので 被害の状況がつかみにくく
いざ、出荷となったところで 商品にできる梨がほとんどない!
なんて事があるおそろしい災害です・・・。
そもそも「ヤケ」とは 糖度は異常に高くなりますが
水分が不足気味で実が硬くなり そのほとんどが真っ黒にいたんでしまいます。
糖度ののりやすい荒尾ならではの災害で近辺のある他産地では
新高にヤケが入ることはないそうです。
なぜそうなるのか、どう対処すればよいのかはJAも農業試験場も
はっきりとした答えを 出せずにいます。
夏の猛暑に少雨、それに残暑の厳しいときは戦々恐々としながら
潅水と排水に気を使う毎日となります。

  

さて、暗い話題ばかりになりましたが そんなこんなの一年を乗り越えて
さあいよいよ荒尾ジャンボ梨の出荷、販売となります!
十月の最盛期ともなるとたくさんのお客様で直売所は
おおにぎわいとなります。
多くのお客様に買ってもらえる、おいしいと喜んでもらえることは
まるで「あんた 今年も一年ようがんばったね。」と
ほめてもらってるようで うれしくなり気分が高まります。
一年で一番の至福のひとときです。
本当に皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとうございます。

  

  

そしてまた一年間の作業の始まりです。

台風等の自然の猛威の前に 私たちはどうすることもできず
肩を落とすこともありますが 梨そのものが自然の恵みなのですから
やっぱり感謝しなくてはと 思う今日この頃です。



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